六月某日、日曜日。

チャペルで愛を誓い合う一組のカップル。
新郎は、とても背が高く見た目もとても格好いい。
眉目秀麗の言葉がぴったりな男性だ。

そう、これが私の夫となる高宮雅人(たかみやまさと)、三十四歳。

そして、その隣に並ぶのは、今日から彼の妻となる今井文香(いまいあやか)、三十歳。

きっとウエディングドレスと言うアイテムは、どんなに地味な女性でも素敵に輝かせて見えるのだろう。

それこそ、誰もが不思議な魔法にかかったプリンセスになれる、唯一無二の最強のアイテムだ。

普段の私を知っている参列者も、私の着飾ったこの姿をうっとりとした眼差しで見つめているのがわかる。

ドレスを脱いだ本当の私は、冴えない地味な女だと言うのは参列者以上に自分自身が充分承知している。

今日の私の化けっぷりは、きっとみんなが驚いている。
そしてこの変貌を誰よりも一番驚いているのは、間違いなく夫である高宮だろう。

今から私達は、祭壇の前で、挙式に参列している皆の前で、偽りの愛を誓う。

高宮も私と同罪だ。
元々私達は、愛し合ってなどいないのだから。

私達が、何故こんな茶番劇を演じる事になったかは、半年前まで遡る。