「多分、ロビーや駐車場に週刊誌の記者がいたと思うよ。
わからない様に変装してるみたいだけど、さっきルームサービスを届けに来たスタッフが言ってたからね。

あいつらはコバンザメよりもしつこいからなぁ。
今、一人で出て行ったら格好の餌食になるのは目に見えてる。

その点、僕が一緒なら、何とでもなる」

背後から聞こえる彼の言葉に悔しさを隠せない。

だから高宮グループには関わりたくなかったのに……。

後悔先に立たずとはこの事だ。

「……分かりました。お引き受け、します。
あなたの花嫁役。
だから、史那を巻き込まないで下さい」

悔しくて、涙が溢れそうになるのを何とか堪えるも、声は震えている。

「交渉成立、ですね。
では、テーブルに戻って下さい。

今後の事を話し合いましょう」

彼の笑顔が、悪魔の微笑みに見えた。