渋々席に戻った私に、彼から告げられたのは、半年後の私達の結婚式の日取りだった。

既に式場(高宮グループの新しく建設しているホテルのチャペル)も予約済みとの事で、私の逃げ道は完全に塞がれていた。

「近日中に、文香のご両親に挨拶に行くから、都合のいい日を聞いておいて。

それから、史那ちゃんのDNA鑑定も行うから、こっちも早目にこの病院に行ってくれ。
話は通しておく。
受付で名前だけ伝えてくれたらいい。
後は余計な事は言わなくていいから」

彼から業務連絡の様に淡々と今後の事が語られているけれど、全て決定事項であり、話し合いと言えるものではない。

私がすべき事を、既にメモに書いて先程の釣書と共に渡された。

「両親には何て言えばいいの……。
父親の事すら、相手が誰かなんて話をしていないし。
ましてや、父親が名乗り出たと知ったら卒倒するわ。
史那を高宮グループに取り上げられるんじゃないかって思ったから私は今まで口を閉ざしていたのに……」

私の本音が出てしまった。

「……それは問題ない。
確かに高宮の孫なら両親は猫可愛がりするだろう。
でも、兄夫婦に後継ぎ予定の男の子がいるから、そんな事にはならないし、させない」