ゆっくり湯船に浸かり、身体の芯まで温まると、プロポーズ紛いの契約の事を思い出していた。

彼には私に対する愛情なんてない。
あの口振りからして、愛情よりも憎悪の感情を感じてしまっている。

私が勝手にあの人の元を離れたから……。
そして、勝手に史那をあの人に知らせる事なく出産したから……。

高宮家の中で、何かいざこざが起こっているのだろうか。

とにかく、これ以上変な事に巻き込まれたくない。

色々考えていると逆上せそうになってしまうので、そうなる前に湯船から出て、身体が温まっているうちに眠ってしまおう。

私は手早く身体をタオルで拭き風呂から出ると、スキンケアを済ませてドライヤーで髪を乾かした。

髪の毛も、出産後の抜け毛が酷かった時期から大分落ち着いてきたので、一度鎖骨の辺りで切り揃えようかな。

あの日史那を授かった事を知ってから、切らずにそのままだった髪の毛。

多分切り揃えたら、あの頃の長さに戻る。

何も知らずに出会ったあの頃に……。

ブラッシングを済ませて、寝ている間に髪の毛が絡まらない様に軽く編み、史那が眠る寝室へと向かった。

寝室の扉をそっと開けると、史那はぐっすりと眠っている。

私は史那の眠るセミダブルのベッドに潜り込み、そのまま一緒に朝まで深い眠りに就いた。