ヴァルハラ☆トライアル
~Naked arms~
「で、なんで俺…女の体なんですか?」

彼は素朴な疑問を、ぶつけてみた。

そもそも、魂だけの存在なのに
この事態はいったいなんなのか。

『それはですね…

あなたは今、霊体というモノで
いわゆる、ただの人魂とは違い
幽霊や妖怪のようなモノです。

そのまま地上に降りれば、
見える方には、見えるようですよ?

8度目に転生した時に…

女性の体に生まれ落ちたんでしょう。

いえ…ね? 簡単に転生といっても
魂を宿す器…
つまり肉体を用意するにも
色々と条件があるのですよ?

生まれ変わるタイミング、
先祖両親となる者の血筋、
故郷となる場所、
前世からの縁者の繋がり…etc.

全ての偶然は、
私が"必然"的に設定してですねぇ…

………まぁ…

男に生まれるか
女に生まれるかまでは
面倒みきれません…!!』

「えぇ 急に逆ギレ?!」
『あなたの様な訳あり物件は、
大天使である私でも、転生させるのに
3分、時間を要しました』

「3分?!そんなカップラーメン的に…!!」
『地上の時間軸だと、150年ほどです』
「えぇえ?!タイムラグがえげつな…!!」

『そんな事より』

なにも納得できていないままの彼を
ねじ伏せるかの様に
シリウスは
手にしていた蓮華の花を
彼に持たせた。

『少々、猫の手も借りたい状況ですので
のんびり思い出している余裕は、
ありませんよ?』

そう言うと、
杖で蓮華の花を『ちょん』とつつく。

すると、まるで魔法のように
ふわーーっと
蓮華の花は光の粒となり…彼を包み込んだ。
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