藍と未来の一つ屋根の下
手、繋いでみない?

夜のお仕事

未来(みくる)が家庭保育施設「お星さまのおうち」に通い始めたのは、3歳の時。


当時東京に引っ越してきたばかりの未来の母有里華は、未来の通う保育園が見つからずにいた。


困り果てた末に、たまたま園児のお散歩中の集団に出会い、「この子も頼めませんか」とお願いしたという。


それが藍の祖母のてる子ばーちゃん。


以来、未来はてる子ばーちゃんが運営する家庭の保育施設「お星さまのおうち」で育った。

帰りが遅い有里華のために、保育時間外もばーちゃんの家で夕飯を食べる。


母親がおらずにてる子ばーちゃんに育てられた藍と、父親がいない未来は、てる子ばーちゃんのもとで双子の兄妹のように育った。

藍の家のダイニングでご飯を食べて、藍の家でお昼寝をして、藍の父の和夫とサッカーを観て、藍の部屋で勉強をする。


それが未来の普通だった。


そして藍と未来は高校生になる。
進学先が変わり、二人にとって初めて、生活が別れた時でもあった。
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