転生令嬢は小食王子のお食事係
「え、料理?」
 私の言葉にエマはきょとんとする。マリオンも驚いている。
 しかしこれは昨日から考えていたことだ。
『好きにしろ』と言われたのだから、好きに料理をする!
「王子がいないのであれば王子宮で働く使用人の胃袋から掌握していくのがいいと思ったのです! 使用人がおいしいものを食べていたら、主人は無関心ではいられないでしょう?」
「たしかに一理ありますね」
 私の説明にマリオンはなるほどと頷く。けれど、すぐにハッとする。
「そのようなことを言って、アイリーン様がただ料理したいだけでは……?」
「あらら、バレちゃいましたか」
 さすがマリオン。私の考えはお見通しらしい。
「でも、私も料理ができて、さらに王妃様の依頼にも答えられる。みんなもおいしい料理が食べられますから双方にメリットがある案でしょう」
「いいと思います!」
 おいしいものを食べたいエマは力強く言った。とても素直でよろしいと思う。
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