過ぎ去りし王国

王たちの話

「国王陛下、国民の生活は貧窮している者がほとんどです。いつ革命が起こるかわかりませんよ」

豪華な会議室では、大臣のマッティアが国王のロレンツォに開国を進めているところだった。その隣では、ロレンツォの妻であるオーロラが黙ってその光景を眺めている。

「他国に侵略されるか、国民の怒りが爆発するか、どちらが先かわかりません。どちらにせよ、あなたの首が飛ぶことは確かーーー」

「黙れ！！そんなことわかっておる！！」

マッティアは顔を赤くして怒鳴る。ロレンツォは「ヒイッ！」と悲鳴を上げた。

「百年も前からずっとこの国は自分の足で歩んで来たのだ…。今さら開国など……」

「しかし！このままではこの国は滅んでしまいますよ！」

二人の口論は続く。オーロラは退屈そうにあくびをした。

オーロラは開国に賛成だ。周りから遅れているこんな国よりも、新しいものにあふれた他国の方がとても魅力がある。

しかし、この王国では女性よりも男性の立場の方が上とされている。オーロラが発言することは許さない。