過ぎ去りし王国
学生の話
クララが目を覚ますと、保健室の天井が見えた。クララの隣には、親友のフィオナが心配そうにクララを見つめている。

「クララ、大丈夫？あんた授業中に急に倒れたんだよ！」

クララはこの国では珍しいお金持ちのお嬢様だ。そのために学校へ通うことができる。

フィオナは幼い頃から体の弱いクララのそばにいて、学校へ行くお金をクララの両親から援助してもらっている。二人はよい友達関係を築きあげていた。

「…ごめんね、付き添ってもらって」

そう言い体を起こそうとするクララを、フィオナが「待って！」と止める。その目は優しげだった。

「もうちょっと休んでから授業に戻ろう？」

フィオナの力は、思ったよりも強い。クララは大人しくまたベッドに横になった。

クララの通う学校は、お金持ちの子が多く通っている。なので、のん気に学校行事ができるのだ。もうすぐ学園祭が行われる。

クララたちは演劇をすることになり、今日その役割などを決めることになっていた。
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