拝啓 元カレ上司サマ

それは忘れもしない小学校入学の少し前のことだった。

「お前の金切り声を聞くたびに、虫酸が走る」

「何ですって‼こうさせたのは、貴方じゃないの…」

思い出すのは、母の嗚咽混じりの泣き声と、父の嫌そうな顔。

その後何日か言い争ったあと父母は離婚し、父は愛人の元に行ってしまった。

そして母は暫く泣き暮らしていたが、どういう訳か、入学式当日には、美人でキラキラした、麗香のイメージ通りの母親像そのままに、綺麗に着飾って、ランドセルを背負った私とともに式へと出席した。

彼女はそれからずっと、生き生きと子育てに仕事にと張り切っていたが、今思うと、その頃には既に母を支える男性が居たようだ。

何を隠そう、その男性というのが、現在の母の夫であり、麗香の父親になってくれた人である。


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