part-time lover
第1話


『ホテル代別で2万でいいですか』

『大丈夫です。どこで待ち合わせましょうか』

『渋谷に20時半でも平気かな』

『わかりました』

『じゃあそのくらいの時間に道玄坂のコンビニ前で』


ものの数往復のメッセージのやりとりで、交渉が完了する。

危険を感じたら逃げる選択肢を残して、リスク管理は抜かりなく。

金銭の代わりに体を提供する密会のための準備は簡単なようで頭を使う。

時刻は18時半。

定時上がりを決め込んで自宅に帰り、シャワーを浴びて全てをリセットして、大学時代のメイクと服を身にまとって渋谷へ出るには時間は十分だろう。

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