part-time lover


大学を卒業し、新社会人として働き始めてから半年がまもなく経とうとしていた。
2年近く付き合っていた彼氏と数ヶ月前に環境の変化というありふれた理由で別れてから、だれかとまともに恋愛をする気なんて今の私には全くなかった。

どうせ遊ぶなら自分にメリットがあったほうがいい
という打算的な思考と好奇心で始めた援助交際。
今時の言葉で言うなら『パパ活』と言うんだろうか。

主流のアプリに登録すれば、自分のニーズに応えてくれる相手は簡単に見つかった。

人によってはセックスを求めない人もいれば、理解しがたい性癖を求めてくる人もいた。

簡単な文字でのやり取りの中で相手のニーズと安全性を確認し、お互いの利害が一致したら取引を行う。


実際に会う場所まで行っても、遠目に見て見た目や行動が怪しければ何事もなかったようにUターン。

幸運にもこれさえ押さえておけば、基本的に怖い思いはせずにここまでこれたので、こんな生活をだらだらと2ヶ月ほど続けている。

その場限りの関係で後腐れなしというのは気楽だし、
年齢を詐称し、女子大生Aを演じるというのも自分が自分じゃないようでなかなかに面白かった。

そんな理由で気まぐれに仕事が早く終わる日に相手を探してはお小遣いを稼ぐのが最近の日課となっていた。
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