part-time lover
第5話


梅雨明け前ではあるものの、今日は珍しく快晴。

これからのデートを楽しみに惰性的に仕事をこなして、そそくさと定時で会社を後にした。

何を着て行こうか、どんなメイクにしようかとあれこれ迷いながらこの一週間を過ごしたのに、結局選んだのはいつものオフィスカジュアルにいつものメイク。
歳不相応の気慣れない服が落ち着かないのは、大学生のコスプレを続けて学んだことだった。


今日の待ち合わせは六本木。
日比谷線の改札を抜けて、六本木ヒルズの方へ向かう。

約束の場所には私の方が早めに着いたようだ。
金曜日の夜のギラギラした雰囲気が似合う街だなあと、大通りを行き交う人たちをぼんやり見ながら思った。
夜遊びで来ることはあっても、まともなデートで来ることなんて本当に久しぶりだから少しだけ気持ちが落ち着かなくなる。

19時半の待ち合わせ時間まではあと5分。
何度もケータイで時間を確認しながら、相手の到着をそわそわと待つ時間は何でこんなにも長く感じるんだろう。
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