キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
②きみの心に近づきたくて
 翌日、学校へやってきた私は上履きに履き替えようとして下駄箱に手をかける。その瞬間から、刺さるような視線を四方八方から浴びた。

 ――え、なに?

 パッと振り返れば女子たちが私を見てヒソヒソと話しており、目が合いそうになると目を逸らされる。

 ああ、宙斗くんとのことがみんなにも広まったんだな。予想はしていたけれど、学校がいきなり戦場に変わった気分だ。

「付き合ったって本当かな?」

「でも、本人が言ってたし……」

 聞こえてきた女の子たちの会話に、私はため息をつく。

 宙斗くんがさっそく、偽装カップルの効果を試したんだ。もう、誰かに話すならちゃんと私にも事前に相談してよね。うっかり、違いますって本音がもれたらどうするの。私にも、心の準備というものが必要なんだから。

 頬を膨らませながら、私は上履きに履き替えて教室へと向かう。すると、背後から駆け寄ってくる足音が聞こえた。

「おー、お前、やらかしたらしいな」

 振り返ろうと思ったけど声だけで誰かわかったので、私は立ち止まらずにそのまま歩きながら答える。

「そこは、告白がうまくいったと言ってほしいな」

 楓め……やらかしたって、その言い方はひどくない?

    

< 20 / 178 >

この作品をシェア

pagetop