夜をこえて朝を想う
第3話

side M-2

安堵と共に、また不安が過る。

どこへ?

どこへ行ったのだろう。

梓にだって、そっとして欲しいと思う時があるのかもしれない。

でも、不安だった。

ひょっとすると、梓より、私の方が情緒不安定だったのかもしれない。

私だけに連絡を取らないとすると…やっぱり考えられるのは…吉良くんの事だった。

未だに、梓の中に居座る…彼だった。

ふと、いつかメモした吉良くんの連絡先を思い出した。

行ってるかもしれない。吉良くんの所に。

もしくは、連絡が…

思いきって、コールした。

彼はすぐに出た。良かった番号変わってない。

「もしもし…」

「吉良くん?」

思えば、私は彼と面識がなかった。

こっちは、知ってるけど。

説明すると、分かってくれた。

「ごめんなさい。勝手に番号聞いてしまって。何か連絡なかった?梓から。」

「…あったよ。去年の末くらいに。ショートメッセージ。」

やっぱり!あったんだ!

「それ以降は!?」

思わず声が大きくなる。

「…ない。この前ショートメッセージ送って…電話もしたけど繋がらない。」

「…吉良くんでも駄目なの…」

私も、吉良くんもダメ。

何があったの?

「…何があったんだ?」

「何があったのかも…分からないの。」

「説明。」

「あ、うん。年末から連絡取れなくて…その…彼女少し…メンタルに問題があって。」

「家は?」

「行った。管理人さんに開けてもらって。でも、居なかったの。」

「実家は?」

「帰ったみたい。そこから…。」

「…ど…」

「いえ、大丈夫…だと思うの。最悪の事態…とかはね。親には連絡してるみたい。家にも帰ってる。…私が一人で…」

泣きそうになり

話せなくなった。

「…会える?」

久しぶりどころか、面識もない女に

彼はそう言ってくれた。

「あ、うん。ごめんなさい…今まだ仕事が…」

「いつでもいい。何かあったら連絡くれる?俺の方からも梓に連絡続けるから。」

「うん。」

「大丈夫だよ。」

そう言った彼の声に、少し安心した。

ねぇ、ほら、梓…。

優しい人じゃない。

何で?

何があったの?

私が一人で…心配してるだけかもしれない。

だけど…不安だった。

顔を見るまでは。

何度か会社へ向かったけど

私の仕事がバタバタして、会うことは出来なかった。


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