終わる世界で、きみと恋の埋葬
ふたりきり、ふたりぼっち
あるひとは星になると言った。

あるひとは花になると言った。

あるひとはきらめきになると言った。

またあるひとは、木漏れ日になると言った。


ひとは、誰もが美しくいなくなる。神隠しにあったように。


火葬場はとっくの昔に朽ち果て、お墓は守るひとがいなくなり、お葬式は形だけ、大抵挙げられないかつての御伽噺になった。


今はもう、遺影を飾り、遺品を抱きしめて故人をしのぶことしかできない。


ある日SNSに動画が上がった。美しく消えたひとの、最期の動画だった。


そのひとは美しいきらめきになって消えた。


カメラに向かって愛おしそうに微笑んで、涙ぐんで、何か、きっと名前を呼びかけて——そうして、何も言えないまま、消えた。

まるで初めからいなかったみたいに。


その動画はものすごい勢いで拡散され、ものすごい勢いでコメントがつき、感動の涙を流すひとも多かったけれど、それ以上に不謹慎だと批判が殺到した。


動画を上げたアカウントの持ち主は故人の恋人で、これがあのひとの遺言だから、これしか遺品がないからと繰り返した。


その動画は「うつく死」なんて呼ばれ始めていつのまにか社会現象になり、動画を原作にした切ない感動ものの映画が作られ、小説化や漫画化して面白おかしく消費され、少しずつ忘れられていった。


——それがおよそ三年前のことだ。
< 1 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop