破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします

🍙仰天!彼の正体。実食!お楽しみの昼飯

──街道を道なりに進んで東へ向かい始めた馬車で、アーシェリアスは密かに安堵の息を吐き出した。


(あっぶなかった! ミアだけでも何を仕掛けられるかわからないのに、そこにアルバートまで加わったら、うっかり新しい破滅フラグが生まれるとこだったわ……)


幸運にも、アーシェリアスはアルバートに遭遇することなく宿場町を出発することができ、無事にのんきな顔をしたシーゾーをいつも通り膝の上に乗せることができている。

ノアは家から持参してきた魔物事典という本を読み、隣に座るザックは手綱を手に道の先や辺りの様子に気を配っていて、特に事件もない穏やかな時間に感謝したい気持ちになった。


(平穏って最高ね)


とはいっても、これから向かうのは祈りの洞窟。

危険な魔物と遭遇した場合、平穏とは言い難い時間がやってくるのだが、アーシェリアスには幻の料理を作るという目的がある。

鞄の中にはもしも用の小麦粉爆弾などを用意しておいた。

魔物と心を通わせることができるノアもいるし、ザックも剣技に優れ頼りになる。

きっと乗り越えられると信じ街道を進み続け、背にあった太陽がてっぺんに差し掛かる頃、目的地へと到着した。

< 115 / 194 >

この作品をシェア

pagetop