アンバランスな想い

ズレる時間

「お、お…
お姉ちゃん!」

家に帰ると
すでにお姉ちゃんは家に帰っていた

ソファに座って
夕方のニュースを見ていた

廊下を走って
居間に入ると

私は勢いにのって
お姉ちゃんに抱きついた

「何?
どうしたの?」

「どうしよう
私、私ね」

お姉ちゃんの匂い
お姉ちゃんの声

私を優しく包んでくれる
お姉ちゃんが
温かくて
涙が溢れてきた


「瑛ちゃんが好きだよ
キスしたいって思ったけど

…できなくて
戻ろうとしたけど
できなくて

どうしていいか
わからなくて」

「瑛ちゃんは?」

「駐車場にいると思う
ハンドルに顔を伏せて…
どうしよう」

「スーちゃんは
キスしたいと思ったの?」

「思ったけど
瑛ちゃんが途中でやめて

『ごめん』って謝って」

お姉ちゃんが立ち上がった

「すぐ駐車場に行きなさい!」

「でも」

「マコも近くまで行くから」

お姉ちゃんは
スウェットのまま

私の手を握ると
家を飛び出した
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