桜の花が散る頃に

結城祥子と夏実

[結城祥子と夏実]start




ハロー宇宙、元気ですか?

中間テストが終わって一週間、今日は月に一度の男女合同体育の日です。

なんで月一でこんな日があるのかは謎ですが、クラスの男子達は騒ぎまくってます。

え、なんでかって?

それは、実はうちのクラスには有名人が

「シュート君っ、何やってるのー?♡」

ゲッ、話しかけられた。

「今日はみんなでドッヂボールだって♡ユキ、当てられないように頑張らなきゃー♡」

そう、この語尾ハートのぶりっ子女の事です。

高校生モデルとして雑誌やテレビで活躍、若者の間では男女問わず高い人気を誇る“Yuki”
こと、本名 結城祥子。

普段モデルとしての仕事が多忙なのか、あまり学校に姿を見せない。
況してや合同体育の日にたまたま現れるなんて、男子としては想定外な訳で…

「ユキちゃん!!Dチームで組まないー!?」

「あ、あとでサイン、く、ください!」

みんなして集ってバカみてえ…。


「おい秋人、何をボーッとしているのだ。僕達もチームをはやく組まないといけないだろう。」

「えーっ、学と秋人一緒に組むの!?そんなの相手ボコボコに出来なくてつまんないじゃんー」

そんな結城一色の場に流されないのは、さすがこのお二人。

「なんでテメェまで俺の事名前呼びなんだよ!」

「…夏実にそう呼べと、言われたからだ。」

いつの間にお前は夏実の下僕に…?
ったく、人がどうやって繋がるかというのは分からんものだな。

「学は運動出来なさそうだからいいけどさあ、秋人とは一回本気でやりあってみたいよね!!」

と、夏実がどうしても言うので、俺はAチームに合流、夏実と学は揃ってEチームに。

なーんで学が夏実と一緒なんだ。

少しムカっとしていると、俺の元にあの人がやって来た。

「シュート君、Aチームなんだっ♡ユキー、ひとりぼっちでー、いれてくれたら嬉しいなぁ♡」

あざと…。
俺は一年の時からこの人の事が苦手なんだよな。

性格悪いとか、そう言う訳では無いんだけども、なぜか俺に絡んでくるから正直うざったい。

そんな仲良くもないのに、シュート君シュート君と何かと話しかけてきたり…女ってのは、よく分からなくて面倒だ。

あ、夏実を除いて。

時間になり、ドッヂボールトーナメント戦がスタート。
一勝すれば次で決勝、Eチームと当たる仕組み。

「秋人!当たるまで負けないでよー!」

ギャラリー席で騒ぐ夏実を横目に、おう!とグーサインを出すと、「だっさ。」と学が笑うからなんか腹立つ。

その輪の外に一人、夏実と学を睨んでいる人物がいようとは、俺はその時は気付かなかった。
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