クールな弁護士の一途な熱情
9.微糖



カレンダーが8月に変わり、1週間近くが経とうとしている8月6日。

今日も外は熱く、夏の日差しが強く地面を焦がしている。



そんな太陽を見ながら、クーラーの効いた涼しい事務室でデータ入力をしていると、花村さんと壇さんのふたりは、悩ましげに口を開いた。



「ねぇ、都子。今年はなにあげる?」

「うーん、考えてはいるんだけどなかなか決まらないのよねぇ」



花村さんはキーボードをたたきながら、壇さんは頬杖をつきながら。

難しげな顔をしてみせるふたりに、会話から誰かへのプレゼントを考えているのかと察した。



「誰か誕生日かなにかですか?」



ふたりの共通の知り合いかなにかだろうか、とたずねると、壇さんは不思議そうに言う。



「誰かって伊勢崎くんよ。明日誕生日なの、知らない?」

「へ?」



静の、誕生日?

デスクの上のカレンダーを見ると、今日は8月6日。

そうだ、明日の7日は静の誕生日だ。



すっかり忘れてた……。

つまりふたりは、静の誕生日プレゼントで悩んでいたということだ。


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