Love EaterⅡ


丁度、抑制薬の強力な物を百夜に頼むことも目的であったのだ。

百夜に追い払われた今時雨の薬を貰えるというのは実に好都合でありがたい話。

「ありがとうございます」

「上手くいくといいですねえ、デート」

「あー、まあ、何とか頑張ります」

「もし良かったらどうなったかも話に来てください。一人でお茶を飲むのも寂しいもので」

「じゃあ、いい結果になるように祈っててください」

お茶請けでも持って出向きますよ。と、渡された薬を懐にしまうと一礼をして研究室の外へと身を出す。

そうして後ろ手で扉を閉めると、ハアッとよく分からぬ溜め息が漏れるのだ。

相談としては解決案になるようなものは得られなかった。

それでも時雨の経験からの忠告は下手な助言よりソルトの心に沁み込んだのだ。

「〝なぜ悩むことに時間を費やした”…か」

もし、今この瞬間に六花を失えば魔女だ魔混じりだなんて理由の悩みもそんな風に思って悔いてしまうのだろうか。

きっと悔いる事だろう。

だけども今は安易に踏み越えていい悩みとも思えない。

それでもそれは時間があると油断しているからこその思考なのだろうか?

「次なんてあてにするな。…か」

確かにそれは言えるな。

とにかく…今は出来得る全てで向き合えばいい。

そんな結論を静かに自分に言い聞かせると、ようやくゆらりと歩きだしてソルトも帰路についたのだ。




さて、問題尽くしの二人の初デートは如何に!?

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