闇の果ては光となりて
ちょこっと、おまけ

霧生の誕生日

霧生と正式に付き合いだして初めての誕生日。
10月7日、彼は18歳になる。
孤独だった私に居場所を作ってくれ、沢山の幸せを教えてくれた彼に、どんな贈り物をすれば良いのかと、思い悩む今日この頃です。
チームで誕生日パーティーをするのが決まっているので、2人きりで過ごす事は無いかも知れないけど。
霧生に、喜んで貰えるプレゼントを送りたい。

とは言え···霧生って何でも持ってるんだよね。
ほら、何せお坊っちゃんだからね。
う〜ん、悩む、悩むよぉ。
教室の机に突っ伏して、唸り声を上げた。

「今度は、何を悩んでるのよ」
呆れた声が上から降ってきた。
「あ、ツッキー」
顔を上げれば、怪訝そうに眉を寄せ私を見下ろすツッキーがいた。
「辛気臭い顔してんじゃないわよ」
「痛っ」
頭叩くことないじゃん。
ツッキーに頭を軽く叩かれ、自分の後頭部に手を乗せる。
「だってぇ」
「だってじゃ無いわよ。で、何を唸ってたのよ」
「あ、うん。もうすぐ霧生の誕生日なんだけど、何をあげたらいいのか分かんなくって」
眉をへの字に曲げた。 
「そんなの頭にリボンでも付けて、私って言えばいいのよ」
「へっ?」
「間抜けな顔しないの。まだ手を出されてないんでしょ?」
「そ、それはそうだけど」
「だったらいいじゃないよね。あの男喜ぶわよ」
「あ、いや、それは」
「勿体つけてると、他所で解消されちゃうわよ」
「そ、それは嫌だ」
他の子と、霧生がって考えると胸の奥がモヤモヤした。
「冗談よ。あれは神楽しか見えてないから、それは無いわ」
「···その冗談キツイよぉ」
あからさまに落ち込んだ私に、ツッキーが苦笑いを浮かべた。

「本当、神楽は単純ね。まぁ···神楽が選んだ物なら、何でも喜ぶんじゃないの?」
「そ、それはそうだけど」
「神楽は悩み過ぎなのよ。誕生日なんて毎年来るんだから、それほど悩む事は無いんだからね」
ツッキー、それを言っちゃ〜おしまいだよ。
確かに毎年来るけどね。
「だって、初めての誕生日だし」
「フッ···プレゼントで悩むなんて、神楽が幸せになった証拠よねぇ」
感慨深く頷いたツッキーが笑みを漏らした。
「まぁ、幸せっちゃ幸せだけどねぇ」
フフフと笑い返す。
煩わしい問題が解決して、心に余裕が持てるようになったからこそ、こんな風に悩めるんだよねぇ。
私の周囲は今、とっても穏やかだ。
今ある幸せが多くの人達によってもたらされたのもだって、実感してる。

「悩むのは後にして、お昼に行くわよ」
「うん」
どうやら、悩んでる間に授業終わりのチャイムは鳴ってたようだ。
瑠奈さんお手製のお弁当をカバンから取り出し、先に歩き出したツッキーを追い掛けた。
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