シンデレラは真夜中に踊る
ふわりと窓の外を白い雪が舞う。山の中にあるこの高校は、今日はいつにも増して寒い。

「うう〜…。生き返る〜…」

村井北斗(むらいほくと)は、図書室に入ると大きくため息をついた。

山の中にあるこの高校は、映画で観たハリー・ポッターに登場するホグワーツ城に似ている。一年生の北斗はこの景色を気に入りこの高校に入学した。

しかし、冬の寒さは異常なほどだ。廊下に出ただけで寒気が走る。

「遅いぞ〜!」

図書室の椅子に座ってシャーロック・ホームズの分厚い本を読んでいた女子生徒が顔を上げる。その目は、いたずらっ子のように輝いていた。

「先輩!まだ委員会まで十五分はありますよ」

図書室にある時計を見て北斗が答えると、「甘いなぁ」と女子生徒は笑う。

「早く行動することに悪いことはないでしょ?」

早すぎるのもダメだけど、と言って女子生徒はまた本に目を向け始めた。

この女子生徒の名前は、川崎雫(かわさきしずく)。美化委員の三年生だ。
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