強引上司に絆されました
癒しの時間

いつもより少し甘めのアイスカフェラテをチョイスして、ICカードを翳して決済。
窓際にあるカウンターに腰を下ろすと、外はすっかり夏の陽射しだ。

「今日も暑そう・・・」

頭の中で本日のランチは社食かな・・・なんてボーッとしてると、総務の都築萌香(つづきもえか)ちゃんが隣に座った。

「穂花さん、休憩ですか?」

二つ下の妹と同期で、サラサラ黒髪のショートボブがとても似合ってるこの子は、桜葉部長の婚約者だ。

「モカちゃんは?届け物?」

人懐こいけど、押し付けがましくない。
小動物の様な可愛らしさを持つこの子は、親しい仲の子達にモカちゃんと言われてる。

「はい。田貫(たぬき)部長のお使いで、郵便局に行ってました」

「外は暑かったでしょう」

「はい。喉カラカラなので冷たい物を飲みたくて、寄り道です」

妹の花菜美(かなみ)もそうなのだが、この子ものんびり天然な雰囲気がある。
思わず頭をナデナデしたくなる様な、お家でヨシヨシしたくなるような・・・何このカワイイ生き物!的な。
桜葉部長が溺愛する気持ちが、わかるというもの。

そこでイチゴミルク買っちゃうって、やっぱりカワイイ。
正直、結婚が決まった辺りから、随分とキレイになった。
愛されてキレイになれるなんて、実を言えば羨ましい。
・・・まあ、相手は居ないし、仕事が恋人だけど。


「おい、そこのアブナイお姉さん。そこの小動物持ち帰るなよ。俺が裕一にドヤされる」

いつの間に来たのか、課長がアイスコーヒー片手に呆れ顔でコッチを見てた。

「アブナイお姉さんって・・・」

「東海林課長、小動物って誰ですか?」

小首を傾げて、課長に問うてる。
課長も、そんな切り返しが来るとは予想外らしく、目を見張る。
仕方なく、私が助け船を出す。

「モカちゃんよ」

「へっ?私ですか?」

うーっと、カワイイ顔を顰めている姿も微笑ましい。
課長は苦笑混じりに

「一息入れたら戻れよ、お嬢さん方」

と言って、戻って行った。
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