【シナリオ版】釣った夫は腐ってました!~鈴ノ木夫妻の新婚事情~
2話 悪夢のはじまりはいつ?
〇土曜日の昼過ぎ。友人、悠里のマンション

陽当たりのよいリビングに置かれた小さなベビーベッドをそっとのぞきこんでみれば、丸々とした頬が愛らしい赤ちゃんがスヤスヤと眠っている。
華「いや〜。梨々ちゃん、ほんと天使だね!かわいすぎる〜」
悶絶する華に、天使のママは冷静な声で答える。
悠里「夜中は悪魔だけどね。三時間おきの授乳なんて大嘘!現実は三十分おきだからね」
華の高校時代からの親友、悠里は四ヶ月ほど前に女の子を出産したばかりだ。初めての育児はやはり大変なのか、元々痩せ型だった彼女の体はあっという間に出産前に戻っている。大きな目の下には、これまで見たことのない深いクマが出現していた。

華「そっか。かわいいばかりじゃないよね、やっぱり」
悠里「まぁね〜。職業柄、子どもの相手は慣れてると思ってたけど、自分の子どもとなるとまた違うわ」
悠里は華がお土産に持ってきたチーズケーキをテーブルに並べながら、ため息をついた。
現在は育休中だが、悠里は小児科の看護師だ。臨月直前まで大学病院でバリバリ仕事をしていた。そんな彼女を仕事以上に疲弊させてしまうのだから、育児とは恐ろしいものだ。

悠里「って‥‥ごめん、ごめん。今日は私の育児ストレスより華の方がよっぽど深刻だったね」
華「そうなのよ〜助けて、悠里!もうどうしたらいいのか、わからない」
悠里「まずさ、ちょっときついこと言っていい?」
華「いや、いま死ぬほど傷ついてるからこれ以上は勘弁してーー」
悠里「うん。じゃあ言うけど」
華「ちょっと!聞きたくないってば」
華は思わず耳をふさいだけれど、親友の辛辣なひと言ははっきりと聞こえてしまった。
悠里「はっきり言って、自業自得」
華「え〜〜私が悪いの?」
悠里「旦那様もちょっと、いや、かなりか。どうかと思うけど、華も華だよ。だって私、スピード婚は危険だってあんなに忠告したじゃない」



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