彼女を10日でオトします
100マタなんて不粋なこと言わないでよ、俺はみんな愛してるんだから
 ふう。あったかいねぇ。
みんなが授業してる最中、こうやって温まってる。うん、いいねえ。

 カーテンで仕切られたベッドの上に寝そべる。あ、社会の窓はちゃんと閉めないと。

 カーテンの向こう側から、ガラガラと扉が開く音がする。
 誰か来たみたい。
 うとうとしながらぼんやり考えていると、ケツと布団に挟まれた携帯電話が震えた。

「ハァイ。もっしもーし、こちらたすくは、これから夢の中に旅立とうとして――。
ああ、さっこちゃん。どったの?
んー。今日は先約入ってんの。わりいね。ほいー?えっ……ミーナちゃん。
うんうん、明日ね。愛してるぜい、ハニー」

 携帯を枕元に置いて、ぐうんと伸びをする。さてと、寝よ寝よ。

「相変わらずモテモテだねぇ、たすく」

 声と同時に、締め切っていたカーテンがシャッと音をたてて、下方の布を膨らませながら開いた。

「ヒデかぁ。なんか用?」

 開いたカーテンの隙間から、ひょっこり顔を出したのは、ツンツン頭。そして、何よりでかい、唯一の親友、英雄ことヒデ。

「そろそろ一本に絞れば?」

 このカナリヤみたいな声。ヒデの後ろからまたまたひょっこり小さな顔が現れた。
ヒデの彼女であり、唯一の女友達、琴実ことコットン。

「コットン、ひどいこと言うー。やあよ、やあ! 俺、女の子全員愛してるもん。宇宙レベルで」

「全員って何人よ?」

そんなにイヤそうな目で見ないでぇ、ヒデちゃん。

「んー。アイコちゃんとメグりん、彼氏できちゃったのよ……。
だから98人?俺というダーリンがいながヴぉえっ」

 元ヤンコットン、赤い髪をふわりと膨らませてダイブ。ヒップドロップが俺の腹にクリーンヒット。

「堂々と100マタかけるダーリンに本気になるバカ女はそうそういないわよ」

 肉付きがいいとは言えない、コットンのシリが腹に沈む沈む。

「ぐ、るしい……ぷはぁ。ああ、重かった。コットン太った……わけないですよね、ごめんなさい」

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