冴えない私の周りは主役級ばかり~雫の恋愛行進曲〜
幸と不幸(雫side)
【雫side】

「おー! これは意外にも……」



今日、わたしは晴れて女子高生、いわゆるJKとなったのだ。



部屋の姿見に映し出された、制服姿の自分を長々と眺めている。



「ふふふ、悪くない」



中学時代の野暮ったい制服と異なり、チェック柄の可愛らしい北高の制服が、三割増しほどわたしをよく見せる。



コレはもはや、上の下はあるのでは無いだろうか。



そんなご贔屓さんも顔負けな評価を自身に下し、入学式へと向かった。



家を出てすぐ、隣宅のインターホンを鳴らす。蓮の家だ。



彼はわたしのJK姿を見て、どんな反応をするだろうかと期待を膨らます。



「あら、雫ちゃん?」



玄関から出てきたのは、蓮のお母さんだ。蓮のお母さんだけあって美人さんだ。



「おばさんお早う」



「可愛いわね。制服とても似合ってるわよ」



「ありがとう。えーと、蓮は?」



「三十分ほど前には出て行ったわよ。てっきり雫ちゃんも一緒だと思ってたのに?」



どうやら蓮は一人で先に登校したらしい。おばさんに挨拶をしてから蓮の家を後にした。
< 40 / 98 >

この作品をシェア

pagetop