ぜ、ん、ま、い、と、あ、た、し

不思議な住人達


四つん這いになりながら、形振り構わず石段を駆け上がる。

上がりきると、月夜に浮かぶ墓地が視界に広がる。

脳内で警鐘がガンガン鳴った。一刻も早くここから離れなければ。

あたしはまた走り出した。

建物の角を曲がり、教会の正面に回った途端に眼界がぐらりと傾いた。

そのままあたしは、陸に上がった魚みたいに地面に横たわっていた。

こめかみが酷く熱い。

目から出た星がチラつく中で、ランプを掲げた複数の人間があたしを検分している。

村の人に捕獲されたようだと夢うつつに観念した。

彼らは一様に墓石に似たシルエットの、双葉型をした何かを背中に着けていた。

何、それ? 

声に出したつもりだったが、音としては不十分だった。



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