午後の仕事に間に合うように会社へ戻ると…。

ロビーの受付カウンターに座る花蓮と、カウンターに両肘をついて身を乗り出し、花蓮の耳元に口を寄せて内緒話をしている大河が目に入った。

ロビーにいる人たちも、顔を赤くしながらチラチラとカウンターの方を気にしている。

それを見た時…なんだか心がザワザワっとした。
なんだろう…胸が…痛い…?

美波先輩と恵利ちゃんも花蓮と大河に気づいたらしい。

クスクスと笑い合っている絵になるお似合いの2人の姿を遠くに見て、小さく息を吐き振り向いて「ね?」と笑って言うと、先輩も恵利ちゃんもコクコクと頷いた。

うん。
大河…頑張ってるな…。

この調子なら3ヶ月も経たないうちに花蓮を落とせるんじゃないかな…。
よかった…。よかっ…た…。

また一瞬心がザワザワして…無意識に胸に手を当ててしまっていた。


そんな事を考えながら自席に着くと課長席の悠太と目が合った。

慌てて逸らしたが…心の中で悠太にごめんねと手を合わせる。

子供の頃、散々お世話になったのに…。
大河に意地悪された時も、中等部でイジメられた時も、麻美ちゃんの事があった時も…。
いつも悠太が慰めたり助けたりしてくれた。

本当だったら私も悠太の味方がしたい!
花蓮と結婚して家族になるなら悠太の方が断然いい!

だけどゴメン!
私は愛のない結婚はしたくないの!
保身に走ってごめんね。

全部!諦めの悪い、あの男が悪いんだからね!

大河の綺麗な顔を思い浮かべたら…なんだか腹が立って腹が立ってしょうがなかった。