極上御曹司のヘタレな盲愛
定時間際にそういえば…と気がついた。

私あのマンションの鍵を預かってない…。

まあ…それでもいいか…。
大河は花蓮といい感じみたいだし…私があそこに戻る必要はなさそうだ…。

恵利ちゃんちに泊めてもらおうかな。
でも着替えがない。
それに1日くらいだったらいいかもしれないけど何日もは無理だろう。
美波先輩は高校時代からお付き合いしている彼と一緒に住んでるから、尚更お世話になんてなれない。
実家だって、両親のあの様子じゃ入れて貰えないだろう…。

いっその事着替えを一式買って数日安いホテルに泊まろうか…。

それとも念願の一人暮らしをしてみようか!

貯金なら子供の頃から貯めたのがたっぷりある。

あれ?ちょっと気分が上がってきたぞ。

どっちにしろ荷物を引き取らないとそう何日も暮らせないな。
なんて考えていたら定時になった。

今日は急ぎの仕事もないし…帰ろう。

デパートに寄ってとりあえず数日分着替えを買って、今日はホテルに泊まろうかな。

ゆっくり物件を見てまわって住む所を探そう。

なんだったら転職してもいい…。
父が望んだから入った会社だもん、もういいよね?

だってお父さんは、大河が花蓮を得るために…『残念な方』の私の人生を大河に売ったんだもん!

政略結婚にも使えない残念な娘だからって、いくらなんでも酷すぎるよね。

なんだかまた悲しくなってきた。
さっさと着替えてデパートに行こう。

連泊できる安いホテルも探さなきゃ。

一応…大河に今日は帰りませんってメールをしておこうかな…。
とスマホを取り出したが…。

ま…いいか…。

大河は花蓮の事だけ考えていればいい。

スマホの電源を入れる事なくバッグにしまった。


< 45 / 179 >

この作品をシェア

pagetop