心、理、初
辺寺を守る!
○カフェ心貴呂の店内(夜)
心「お客様、ご注文は?」
心はキッチンから、橋本に声をかける。
常連の女性客の橋本「理也。注文お願い」
心(理也?)
橋本は心は無視して、理也に話しかける。
カウンターの女性客A「ねぇ、あの女の人、名前で呼んでたよ」
カウンターの女性客B「彼女なのかな?」
橋本の隣に座っている二人組の女性達が小声で話している。
心(彼…女?)
理也「…申し訳ありませんが…今から、ご注文の料理を届けに行きますので、ご注文はこちらの者に……」
理也が心を見る。
常連の女性客の橋本「その料理を届けるのを、そちらの方にやっていただいて、ご注文は理也がやれば良いじゃない」
橋本は心を一切見ず、理也だけを見て話す。
理也「それは……」
理也が心を見る。
心(もう我慢出来ない…)
心は理也を隠すように立って、橋本と向き合う。
心「お客様。最近は毎日のように来ていただいて、有り難いのですが、毎日のようにワガママを言われてもらっても困ります」

○(回想)カフェ心貴呂の店内(夜)
常連の女性客の橋本「理也。今から、デートしに行きましょう?」
(回想終了)

○(回想)カフェ心貴呂の店内(夜)
常連の女性客の橋本「理也。お口アーン」
(回想終了)

○(回想)カフェ心貴呂の店内(夜)
常連の女性客の橋本「理也。ホットケーキ作って」
(回想終了)

○カフェ心貴呂の店内(夜)
常連の女性客の橋本「理也…。困ってるの?」
理也「…はい……」
常連の女性客の橋本「そう……」
心(分かって……くれた?)
常連の女性客の橋本「理也…。何に困ったのか教えて?」
心(えっ?)
理也「あの……」
常連の女性客の橋本「理也を困らせないようにしたいから教えて欲しいの」
心(この女…分かってない)
心「それが、困らせてるんです」
常連の女性客の橋本「あなたには聞いてない。理也に聞いてるの」
橋本は理也だけを見ている。
常連の女性客の橋本「ねぇ…教えて?」
橋本は開いている胸元を理也に見せるように、胸を前につきだす。
心(そんな事したって、辺寺は興味ない…)
心がふと右横を見ると、後ろに隠れていたはずの理也が右横に立っていて、橋本の胸を見ている。
心(はぁ?)
常連の女性客の橋本「理也……」
心「彼には恋人が居ます」
常連の女性客の橋本「えっ?」
心の父「心ちゃん…」
心の左横で黙々と仕事をしていた心の父が小声で言う。
常連の女性客の橋本「そうなの? 理也……」
心「居ます」
常連の女性客の橋本「理也に聞いてるの!!」
心(ほら、早く言いなさいよ)
心は右横に立っている理也を見ると、理也は険しい顔を浮かべて、口を開こうとしない。
心「辺寺?」
初「申し訳ありませんが、本人は答えたくないようです」
初がキッチンに入ってきて、橋本に向かって言う。
心「初くん」
常連の女性客の橋本「どうして? 理也、答えてよ!!」
理也「申し訳ありません……」
理也が頭を下げる。
心「辺寺…」
心(何で…)
心の父「心ちゃん……」
心の父が真面目な顔で心を見る。
心(分かったよ……)
心「突然、変な事を言ってしまって……申し訳ありませんでした……」
心は橋本に頭を下げる。
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