心、理、初
心=辺寺の彼女?→キス!
○カフェ心貴呂の店内(夜)
心(………わた…し?)
理也「初…」
常連の女性客の橋本「ウフフフフ…」
橋本が笑い出す。
常連の女性客の橋本「あの子が理也の恋人なわけないじゃない。そうでしょう? 理也……」
橋本が開いている胸元を理也に見せるように胸をつきだす。
理也「………」
理也は困惑した顔をしている。
心(理也が困ってる……。どうして初くんは私が恋人だなんて……。
初くん…嫌そう……)
心は嫌そうな顔で橋本を見ている初に気づく。
常連の女性客の橋本「違うんでしょう? 理也……」
心(初くん……分かったよ)
心「違くないです。
私が辺寺の恋人です」
理也が驚いた顔で心を見る。
心(お願い……)
常連の女性客の橋本「あなたには聞いてない!! 理也に聞いてるの!!!」
橋本が大きな声で言う。
心(お願い……合わせて……)
常連の女性客の橋本「理也!!!」
心(お願い!!!)
心は理也に目でうったえる。
理也「恋人です。
彼女が私の恋人です」
橋本の目を見て、理也が答える。
理也の発言に周りの女性客がザワザワする。
心(通じた……。良かった……。
これで……)
常連の女性客の橋本「キスして!
彼女が恋人なら、ここでキスして見せてよ!!!」
心(ええっ!!!)
心の父「お客様、落ち着きましょう…」
今までおとなしくしていた心の父が口を開く。
常連の女性客の橋本「私は落ち着いているわ!!」
橋本は振り返ると、キッチンに居る心の父に向かって言う。
常連の女性客の橋本「何? 出来ないの? 恋人同士なんでしょ?」
橋本は心の父の隣に居る心に向かって言う。
心の父「お客様……」
常連の女性客の橋本「嘘なんでしょ? だから出来ないのよ。 あんたなんかが理也の恋人なわけ」
初「恋人です。だから、諦めて下さい。お願いします」
初が橋本に向かって頭を下げる。
理也「初」
心「初くん」
初「お願いします」
橋本が振り返って、頭を下げている初を見る。
常連の女性客の橋本「諦める? 私が? 諦めるわけないでしょ。 理也に恋人なんて居ない」
心はキッチンから出ると、理也の前まで来る。
理也「…新谷?」
心「辺寺…すぐ終わるから…」
心は小声で理也に言うと、理也にキスをした。

○二階のリビング(夜)
心「お父さん。私が悪いの」
初「心ちゃんは悪くないです。私が悪いんです」
理也「いえ。新谷と初は悪くないです。自分が悪いんです」
心、初、理也が正座で並んで座り、テーブルを挟んで向かい側に座っている険しい顔の心の父にうったえる。
心「私が悪いの!!! だから、お客様が減ったら、私のせいだから、二人を辞めさせないで。
店の売り上げが下がったら、私には給料出さなくて良いから」
初「そんなのダメだよ。心ちゃんは悪くない。私が悪いんだから」
理也「何言ってんだよ。新谷も初も悪くない。自分が悪いんだ」
心「私なの!!!」
初「私です!!!」
理也「自分です!!!」
心の父「私ですよ」
初、理也「えっ?」
初と理也が驚いた顔をする。
心「お父…さん?」
心の父「村津くんが会話に入ってきた時に、私は止める事が出来た。村津くんが恋人が居ると言った時に、私は誤魔化す事が出来た。村津くんが恋人が心ちゃんだと言った時に、私は否定する事が出来た。なのに私はしなかった。だから、私が悪いんだ」
心「違うよ」
初「違います」
理也「店長…新谷が傷つけられて、怒るのは父親として当然です。悪くないですよ」
心の父「でも…私は店長だから」
心「お父さん」
心はテーブルを挟んだままお父さんに抱きつく。
心「大好き」
お父さんの耳元で囁く。
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