ことほぎのきみへ
再会
「え、そんな事があったの?」

「うん」

「ごめんね…気づけなくて…」

「ううん、私がひとりで人気のないとこに行ったのが悪いの」

「でも…」


「助けてもらって
こうして無事だからいいの」



見知らぬ人に手を引かれ戻ってきた私を見て
何があったのかと亜季に問い詰められた

旅館へ戻ってきてから
昼間の出来事を詳しく話した


ゆうりもゆまちゃんも亜季も

皆申し訳なさそうに眉を下げていた


それがいたたまれなくて
それとなく話題をかえる



「そういえば、ゆうり
悟先輩とどうだったの?」

「!」

矛先を向けられたゆうりは
瞬く間に顔を赤く染める

何故か亜季がにやにや笑ってる


「お姫様だもんねー」


からかうように
よく分からないことを言い出す


「やめて!恥ずかしいから!!」


ゆうりが近くにあった座布団を手に取り顔を埋める

??

何かあったと言うことだけはよく分かった



「ゆうりちゃん、買出しの時に足を捻っちゃってね
歩けなくなったゆうりちゃんを
悟先輩がお姫様だっこで連れ帰ってきたの」

「…お姫様だっこ…」


…それはまた
さぞ目立った事だろう


「お、重いし
恥ずかしいからいいですって言ったのに…」

「悟君、怪力だからね
ゆーちゃんなんて軽々~だよ」


「せめておんぶだったらね」

「…胸の感触が気になるからそれは勘弁してくれ、って」

「本人を前にして言っちゃうあたり
本当に悟君は素直だなぁ~」
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