「熱い……燃えそう。誰か……誰か助けて」
赤い炎が私を襲ってくる。
何度叫んだだろう。
どんなに走って逃げても、火は私を追ってきた。
「誰か助けて!」
声を張り上げたら、逞しい腕が私をギュッと抱き締める。
「もう大丈夫だよ」
その優しい声とその温かい抱擁に心が落ち着く。
ああ、もう大丈夫。
この人が私を守ってくれる。
そんな安心感があった。
そのまままた眠ろうとするも、なにか違和感を覚えて………。
んん? さっきの声は氷堂だったような。
それに、この温もり……。
肌と肌が触れていない?
抱き締められているんだから当然のこと。
でも、抱き締められるって誰に?
あれ?
氷堂の声がしたということは彼ってことなの?
自問自答するうちに、ますますおかしいと感じた。
夢ですわよね?
夢でもこんな状況は許せないが、現実よりはいい。
それに、一度目が覚めたのだから、同じ夢は見ないはず。
そう考えて、もう一度眠ろうとしたが、耳元で氷堂の声がした。
「綾香、起きたの?」
う、う、嘘〜! これは現実?
恐る恐る目を開ければ、目の前に胸板があって、失神しそうになった。
お、落ち着くのよ、綾香。