【完】Mrionation
終着点

次の日、私は彼の家に呼び出された。
本当は行きたくなかったけれど、切実な彼の願いをどうしても無下に出来ず、渋々出向く。


合鍵を使いドアを開けると、丁度コーヒーを淹れている最中で、即座にリビングのソファーへと誘われる。

かたん

二人分のコーヒーをテーブルに置くと、彼は私の前に座る。
そして、私が何かを言う前に、静かにこう聞いてきた。



「昨日…どこ、行ってた?」

「答えなくない」

「暁良…」

はぁっ…と大きな溜息。
それにカチンっと何かが弾ける。
持っていたバッグの柄の部分をぎゅうっと握り締めて、前を向く。


「…っ!じゃあ、言えばいいの?ヒデくん以外の人に抱かれてましたって?そんなのバカじゃない…」

「そっか…………でも、仕方ないよ…俺はこんなだし…」


彼の諦めたような笑みに絶望的する。


そうか…。
もう、そこまで私は彼の中に存在しないのか。

…心がざわめく。
涙が出そうになる。

だけど………。

私は泣かなかった。

泣けるような状況じゃ、なかった。




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