学校へ一時帰国する旨を伝えると、課題を出された。休んでいる間に遅れをとらないようにとの先生の配慮だ。

 家族や真悠、もうひとりの親友・酒田裕美(さかた ゆみ)のお土産を選んだりと、出発までバタバタの数日を過ごして、金曜日の夜にパリを発った。


『当機は間もなく羽(はね)田(だ)国際空港へ到着いたします。着陸態勢に入るため、お座席はお戻しになり、シートベルトを今一度お確かめください』

 キャビンアテンダントのアナウンスに、学校から出された課題をこなしていた私はプリントをバッグの中へしまい、テーブルをもとに戻す。

 到着時間は十五時二十五分予定をしていたけど、十分ほど早まるようだ。

 飛行機が着陸し、入国審査、税関の手荷物検査を終えて、到着ロビーへ小さなスーツケースを引いて出ると、すぐに四十代の農紺のスーツを着た男性が近づいてきた。

「心春さん、お帰りなさい」

 お父さんの秘書の田口さんだ。

「お迎えすみません」

 ジャケットを着てきたけれど、九月初旬の東京はまだまだ暑いようで、空港内はクーラーを効かせていた。

「フライト時間が長いので、お疲れでしょう。こちらです」

 田口さんは私のスーツケースを手にして歩き始めた。