【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
 私、熱があったんだ……。

 額に手を置いたとき、ドアが静かに開き、柊吾さんが姿を見せた。

「具合はどう?」
「スッキリした気分です。あの、ごめんなさい。ご迷惑を……」
「迷惑じゃないよ」

 柊吾さんはベッドの端に腰を下ろし、私の額に手のひらを置いて熱を確かめる。

「熱は下がったようだ。最初は三十八度近くあって焦ったよ。医者に見せたが、風邪ではなく疲れからだろうと。無理もない。この一週間大変だっただろう。気づかずすまなかった」
「そんな……柊吾さんが謝る必要はないです。私のほうが迷惑をかけてしまって申し訳ありませんでした。ベッドも占領してしまって……。私、ずいぶん眠っていたんですよね?」

 おそらく車から運んでくれたのは柊吾さん。どんな顔で眠っていたのか考えると恥ずかしくて、目と目が合わせられなくなり視線を泳がせてしまう。

 ベッドサイドのランプの灯りで、ぼんやりと部屋の広さがわかる。

「二十二時を回ったところだ」

 柊吾さんは私が手にしている濡れタオルを取る。

「ベッドはひとつしかないんだ。体調がよくなったら買いに行こう。それまで俺はリビングのソファで寝るから、心配せずにベッドを使って」
「それはダメです。私がソファで眠ります」

 私は顔をしかめて首を左右に振った。

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