独占溺愛~クールな社長に求愛されています~
最終章
「やっぱりチキンは外せないよな」
「七面鳥じゃなくて?」
「いくらデパートでも七面鳥なんか売ってないだろ」

 クリスマスイブ。デパートの生鮮食品売り場を回りながら、詩穂は蓮斗と一緒に夕食の食材を探していた。

 おしゃれなレストランを予約してロマンチックなクリスマスディナーを……とも考えたが、『ふたりで料理をして家でゆっくり過ごすのもいいな』という蓮斗の提案に乗ったのだ。ツリーを飾るだけでなく、リビングの壁にモールを貼って、カウンターにはキャンドルを置いた。そういう作業も楽しかった。

 詩穂は野菜売り場でブロッコリーを指差して言う。

「ね、ブロッコリーを茹でてツリーみたいに積んでもいい? 前にテレビでやってるのを見て、かわいいなって思ってたんだ。ニンジンを星形に抜いたり、マヨネーズをモールに見立てて飾ったりするの」
「うーん、ブロッコリーかぁ」
「苦手なの?」
「好きでも嫌いでもない」
「ふーん、じゃあすごく大きなブロッコリーツリーを作っちゃお!」
「ブロッコリーを買い占めたらほかの客の迷惑になる。やめておけ」
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