私が恋を知る頃に

楓摩side

「瀬川くん、鎮静剤取ってきて。」

「はいっ!!」

目が覚めてしまったらしく、パニックになってしまっている。

今、逃げると、きっとまだ治っていない体だから直ぐに倒れてしまう。
それに、帰るって…暴力を振るわれている親の元に?
そんなの、なおさら帰してあげられない。

「大丈夫だよ~、何もしないから落ち着いて~。まだ、体辛いでしょ?一旦落ち着こうね~」

女の子は必死に暴れるけど、元々フラフラの体だからあまり力が入っていない。

「先生!持ってきました!!」

「ん、ありがと!!俺抑えるから、打ってもらってもいい?」

「わかりました!」

動かれて、針が折れたら困る。
俺は多少強引に、女の子を固定した。

「ごめんね~、ちょっとチクッとするよ~」

「やっ!!いやあっ!!!!」

「大丈夫、大丈夫だよ~、すぐ終わるからね~」
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