はっぴぃday

愛しい人

「いらっしゃいませ」

少し長めの髪をワックスで無造作にセットした若い男の子が来店した。

はじめて見る彼は、空席に座るわけでもなく、しばらく私を見据え黙ってたたずんでいた。

まるで私に告白をするかのごとく、緊張しているのが伝わってくる。

彼は大きく深呼吸してきゅっと引き結んでいた口を開いた。


「あの…探しました。
桜木先生の彼女さんですよね?」

思いがけない彼の言葉に、スッと背筋が凍りつき、笑顔が強ばり固まった。

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