拾いものは危険な恋のはじまりでした
第十章 嫉妬の矛先
5月に入り、「花かつみ」を辞めた私は、五月さんについて教わっていた

礼儀作法から華道、茶道、着付け、組の事・・・

厳しいながらも、新しいことを覚えることはとても楽しかった。

だが、どこにでも妬みや嫉妬はあるもので、少し困っていることも

五月さんと一緒に通う華道のお稽古、その中に京子さんという人がいた。

なんでも、桐生組の傘下のお嬢さんで私の4歳上の24歳、すこしキツメの

美人さんだが、何かと私に突っかかる。

五月さんの話では、奏さんの事が好きで何度も縁談を申し込んできていた

そうだが、奏さんにその気が全くなく断っていたそうだ。

そこに、婚約者として私が現れたので、面白くないらしい。

五月さんに、相手にしないように言われ気にしないよう努めた。

その日も五月さんとお稽古に出掛けていた。花を生ける花器を二階から

持ってくるように頼まれ、二階に上がって探していた。

すると、強い力で引っ張られ階段の側だったこともあり、

「キャーッ!」

足を踏み外しそのまま下に落ちてしまった。

凄い音に、人が集まってくる。

「ちょっと、大丈夫?」「あ、はい、大丈夫です」

笑って立とうとするが、足が痛くてうまく立つことができない。
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