彼の愛した女(ひと)は?
7章
 
 モニターに映っているのはミルだった。

 今日は休みで誰も来ない筈。

 自宅の方に来るとは・・・。



「ちょっと待っててね」

 火を止めて、静流は玄関に向かった。




 玄関のドアを開けると、いつもより濃いめのメイクをして可愛いワンピースを着ているミルがいた。

「先生、お休みのところごめんなさい。すぐ傍まできたから、先生いるかな? って寄ってみたの。ねぇ、良かったらカフェでも行きません? 」

「あ、悪いけど今お客様が来ているから」


 ミルは玄関にあるパンプスを見た。

「お客さんって、女の人ですか? 」

「それは、君には関係ないと思うけど」


 ミルはパンプスを見て、どこかで見覚えがある事に気付いた。

「先生、昨日の夜外泊してましたよね? 」

「なんでそんな事を聞くんだ? 」

「昨日の夜、娘が先生に会いたがったので連れて来たんです。でも留守だったようで自宅にもいなくて、ずっと待っていたんです。深夜になっても帰って来なかったので、外泊したのかと思って」

「俺のプライベートまで、君には関係ないと思うけど? 確かに娘さんが会いたがっている事は聞いているが、俺にも自分の時間があるから」


 ミルは不機嫌そうに静流を見た。

「先生、恋人でもできました? 」

「はぁ? 」

「外泊するって事は、恋人が出来たんでしょう? 」

「そんな事、君には関係ない。とにかく、もう帰ってくれ」

 
 追い返されると、ミルは余計向きになった。


「帰らない! 」

 強引にミルは中へ入って行った。

「おい! 待て! 」



 ツカツカと入ってくるミル。


 リビングにいた柊は足音に驚いた。


 リビングにくると、ソファーに座っている柊を見てミルは驚いた顔をした。

「あんた・・なんでここにいるの? 」

 つかつかと、柊に歩み寄って行くミル。



< 42 / 52 >

この作品をシェア

pagetop