クールな専務は凄腕パティシエールを陥落する

マサキヨシザキ

「はじめまして。吉崎雅樹です。この度はお時間を割いて頂きありがとうございました」

ブラウンのウルフカットに、同系色の瞳。

フランス人のパティシエの中でもスマートな体型は、とてもお菓子づくりに傾倒しているようには見えない。

゛江戸゛

と書かれたTシャツにジーンズの吉崎は、正直゛イタイ゛。

まあ、日本人が

゛I 🖤 NY゛

と書かれたTシャツをアメリカで着ているようなものか、と愛菓も和生も心の中で苦笑していたが、顔には出ない。

きっと、愛菓の父とは気が合うに違いないが・・・。

「愛菓のお城にお邪魔しても?」

「ええ、構いません」

現在、三人+吉崎の弟子であるlouis(ルイ)が対峙しているのは、オークフィールドホテルの執務室だ。

コックコートの愛菓は、昼の休憩時間に和生に呼ばれてそこに来ていた。

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