君がキライなそのワケは
紛い物ウエディング
―――ほんの少し、意識が途切れた。
眠っていたんだ、と気が付いたのはそのすぐあと。

「ん……ここ」

古びた木の床は身動きするだけで軋んだ。
薄暗いけれど、よく目を凝らせば見覚えのある場所。

「きょ、う、かい……?」

町の外れに廃屋になった教会があった。
ここら辺の子供たちはよく探検や肝試し等と、理由を付けてはここに忍び込み遊ぶ事が多かった。

私達も親や先生達から、危ないから近付かないように言われていたがそんなのお構い無し。
ついこの前も秘密基地と称して遊んだばかりだ。

「……起きたんだね」

後ろから声がして振り返った。
陽太君だった。

「莉子」

その姿にびっくりして、私は押し黙る。
真っ黒なタキシード姿にだったから。

「莉子、綺麗だね」

そう言われて初めて気が付いた。
……私は白いワンピースを着ていた。
レースやフリルのふんだんに使われたその衣装。

「結婚式、しようか」

彼は私の手を取った。
< 26 / 32 >

この作品をシェア

pagetop