しかし、滝川清香は少し天然な性格ではあったが、決して嘘を言う人ではないことは、企画部の誰もが認めていた。

「ね、変な話でしょ?」

企画部事務の藤川奈津美は、夫であり経理部課長の藤川政樹に応接室のことを話して聞かせた。

ここは四階の備品室。
奈津美は政樹と一緒に帰る日は、たいてい備品室に寄って、備品室の主であり先輩の松坂咲の手伝いをして時間を潰す。
そして、今日は少し早く迎えに来た政樹に、早速報告している。

政樹は社内一のイケメン、桐谷秀人に負けないくらいの長身で、少し長めの前髪からシルバーフレームの眼鏡がクールさを増している。顔立ちは綺麗で、眼鏡男子の中ではイケメンと言える。

そんな政樹は、じっと奈津美を見つめたまま、彼女の話を聞いていた。

「それなら、今から応接室を見てこよう」

彼はそう言って、クルリと体の向きを変えて備品室から出ていく。
奈津美と咲も顔を見合わせて、後をついていった。