クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
夫の秘密
リカルドに住まいを移すように言われてから五日が経った。

リアナはダナと共にディエス公爵家へ移る準備を進めていたが、リカルドは全く帰宅しなくなっていた。

(本当に忙しいのね……)

ヴァレーゼ王国内は一見平和で穏やかだが、問題が無いとは言えず騎士団の任務は多い。

最近では城下町で行方不明者が続出しているという噂が有るし、一年前に王太子を襲った犯人も未だに捕まっていないままだ。

父が亡くなったその襲撃事件を思い出すと、どうしても気持ちが沈む。

慕っていた父を失った悲しさと、今この瞬間も危険な任務に就いているかもしれないリカルドの身を心配する気持ちが膨らみ、気付けば溜息を零している。

リアナは父が亡くなった原因である犯人を憎んでいるし、早く捕まって欲しいと願っている。しかし同じくらい二度と現れないで欲しいとも思っている。

犯人が再び襲って来て、リカルドが父と同じ道を辿ったらと考えると怖いのだ。

悪人に怯えるなんて、騎士団長の娘としても妻としても失格かもしれないけれど、それが本音だ。
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