大嫌い、だから恋人になる
すれ違う感情
嫌いだ。

それが俺のちひろに対する、偽りの無い感情だった。

ただそれは俺せいばっかりじゃない。

ちひろはどういう理由かわからないが、最初から敵視してきた。

ろくに喋ったらこともないのに。

女子から嫌われることは、別に珍しいことじゃない。

数えきれない位、告白されてきて、その殆どを断って来たから。かなり恨まれたり、嫌われたりしてる。

それは仕方ない。こっちだって嫌いな女と付き合う気なんて起きない。

でもちひろの場合は違った。最初から俺を嫌ってた。

それは初めての経験だった。

そしてちょっと腹立った。

だから少しちょっかいを出してやろうと思った。

ニセモノ彼女のことは、この時に思い付いた。

何より彼女が居た方が、煩わしい告白から逃れられるから。
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