強すぎる彼女と優しすぎる彼
プロポーズの返事
「高岡さん、倉本課長から電話です。」
部下の言葉にマスクをした佳子は両手でバツを作った。
「え?何してんですか?」
部下が受話器を佳子に渡してくる。しぶしぶ佳子は受話器を受け取った。

小さく咳ばらいをしてからマスクを取り佳子は電話にでる。

『もしもし?』
「はい」
『どうしたその声』
佳子は二日前から風邪をひいて声が出なかった。シャワーを浴びたまま頭を乾かさずに眠ったからと自分でもその理由が分かっている。
「ちょっと、声を使いすぎました」
『いつから?熱は?』
「大丈夫です。要件は?」
がさがさの声のまま佳子は話を続ける。
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