My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1

6.フェルクレールト


 そして、ルバートを発ってから4日後の夜、私達はフェルクレールト上空へと到着した。

 ここまで来る間にどんどん気温が上昇していくのがわかった。聞くとフェルクレールトはとても暑い国らしい。

 予定よりも遅くなってしまったのは、私達が途中キャルムの町や他にもいくつかの町に降りて休憩をとったからだ。
 流石にビアンカの上で眠ることは出来ず、食事のついでに昼間から開いている宿で仮眠をとったりもした。
 勿論、ビアンカが下りる場所は町から少し離れた人目の付かない場所。

 地上に下りるたび、ヴィルトさんは真っ青な顔でその場に横たわってしまった。
 その姿を見ていると、ラウト君がルバートで危険を冒してまで薬を買いに行こうとした気持ちがわかる気がした。

 一方、ブゥが高い場所を怖がったのはあの時だけで、キャルムの町を飛立つときにはもう、いつものようにラグの頭に乗って風を楽しんでいるようだった。
 それを見たラウト君は、「またお父さんだけになっちゃったね」とこっそり呟いていた。

 そして今、ビアンカは少しずつフェルクの地へと高度を下げている。
 眼下には深い森。その先、森が途絶えたところに点々と灯りが見えた。

 あれが、ライゼちゃん達“闇の民”が住む町なのだろうか。

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