My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1

6.エルネスト

 ラグとは対照的に笑顔を微塵にも崩さないエルネストさん。

「相変わらず口が悪いね、君は」
「うるせぇ! 早くオレを元に戻しやがれ!」

 一方的に怒鳴り散らすラグ。
 私はハラハラしながらそんな二人を見守ることしか出来ない。

 ――わかったのは、二人はやはり知り合いであったということ。

「ほら、君がそんなに怒るから彼女が怯えているじゃないか。女性には優しくしないと嫌われるよ」
「ふざけるな! テメェのせいであれからオレがどんな思いをしたと……」
「だから約束しただろう? 彼女を連れて来てくれればその呪いは解いてあげるって」

 子供を優しくなだめる様に言うエルネストさん。

「え?」

 私は小さく声を上げていた。

(それって、どういう……)

「オレは約束なんかした覚えはねーんだよ! テメェが勝手に……」
「なら君は、ずっとあの場所にいたかったのかい?」
「!!」

 ラグは急にグッと押し黙り、悔しそうにエルネストさんを睨み上げた。
 そんなラグにふっと笑いかけ彼は続ける。

「君は今こうして自由だ。僕に感謝してもいいくらいじゃないか」
「これのどこが自由だ!」
「まぁいい、君はちょっと黙っていてくれないか? 僕は今彼女と話したいんだ。僕にはあまり時間がないからね」

 そうしてエルネストさんのエメラルドグリーンの瞳が再び私の方に戻ってきた。

「あれからずっと大変だったみたいだね。足は、大丈夫かい?」
「え?」

 言われて血の滲む足のことを思い出す。
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